KiCad 5.0.0 Windows版 日本語フォントマージビルド

KiCad 5.0.0 Windows版 日本語フォントマージビルド

2018年11月03日  Pukiwikiサイトから転載
2018年09月24日 更新

KiCad で図面に日本語入力・表示してみたくて、自力でコンパイルしてみた第3弾。
5.0.0安定板 がリリースされ雑誌やHPなどで紹介されたので、うらやましくなり挑戦しました。
回路図のコメント入力や基板のシルクで日本語が使えるので便利です。
おなじみでしょうが、すべて自己責任で!
インストールパッケージは一番下です・・・

間違い・質問・ご要望は お問い合わせ まで。

総評

前回同様、PKGBUILD-STABLE を PKGBUILD にリネームして試してみました。
なんかオプション指定すればリネームしなくても大丈夫なんでしょうが、わかりません。
エラーもほとんどなく、4.0.6 4.0.7 は1ヵ月かかったけど今回は数日で完了しました。

参考サイト

日本語フォントのマージ手順

http://wiki.kicad.jp/

おなじみですがこのサイトの日本語フォントのマージ手順とツールなければ出来ませんでした。(というかやってみようとは思わなかった)

基本的なビルドの方法

http://docs.kicad-pcb.org/doxygen/md_Documentation_development_compiling.html

ソースからビルドする場合の情報です。
boostのダウングレードは必要みたいです。
安定板のビルドじゃなくて最新版だと手動で指定しなくても大丈夫だった。
なんでだろ?

謝辞

今回も先人に感謝。参考サイト以外にも各サイトにお世話になってます。
うちの情報も役に立ってくれれば、うれしいです。

作業環境

Windows10 64bit
4.0.7と一緒でDドライブにて作業してます。階層が深くなる対策のため kicad-winbuilder-master を kicad-winbuilder にリネームしてます、 読み替えてくださいませ。
容量は4GBぐらいでした。

作業開始

Cmakeのインストール

https://cmake.org/download/ から自分の環境にあったインストーラをダウンロードしてセットアップします。
普通にセットアップできるので問題はないかと思います。

ソースの取得

https://github.com/KiCad/kicad-winbuilder の Winbuilder を使用しました。git 環境が整っている方は github の kicad-winbuilder を Clone してください。
git 環境が無い場合は https://github.com/KiCad/kicad-winbuilder にアクセスして Clone or Download から zip でダウンロードして展開する。
注意点はドライブのルートに展開するのとユーザー名のスペースに注意です。(マルチバイト文字もかな)
検証は最初の部分にも書いた通り
D:\kicad-winbuilder
で行いました。

事前準備

今回は boost のダウングレードと install.nsi ファイルの文字コード変更で実行できる状態になると思います。
フォントファイルの追加とパッケージングする際の不足ファイル(必要かどうかは不明)の対応がメインな感じです。
証明書関係も改善してました。

  • PKGBUILD

kicad-winbuilder ディレクトリの PKGBUILD を PKGBUILD.bak に名前変更。
PKGBUILD-STABLE をコピーして PKGBUILD に名前変更。
名前変更した PKGBUILD の20行目付近に2行追加。
(必須ライブラリの追加)

depends=("${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-boost"
         "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-cairo"
         "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-curl"
         "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-glew"
         "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-openssl"
         "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-wxPython"
         "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-wxWidgets"
         "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-libxslt"
         "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-oce"
         "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-gnutls" ← 追加
         "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-rtmpdump" ← 追加
         "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-ngspice"
         "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-fftw")
makedepends=("${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-cmake"
             "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-doxygen"
             "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-gcc"
             "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-python2"
             "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-pkg-config"
             "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-swig"
             "${MINGW_PACKAGE_PREFIX}-glm"
             "git")

PKGBUILD の80行目付近に1行追加。
(ストロークフォントファイルのコピー)

EXTRA_FLAGS=""
if [ $GCCVERSION = "5.1.0" ] || [ $GCCVERSION = "5.2.0" ]; then
EXTRA_FLAGS=" -DCMAKE_CXX_FLAGS=-Wno-deprecated-declarations"
fi

cp /d/kicad-winbuilder/newstroke_font.cpp $HOME/MINGW-packages/mingw-w64-kicad-git/src/kicad/common ← 追加

MSYS2_ARG_CONV_EXCL="-DCMAKE_INSTALL_PREFIX=" \
${MINGW_PREFIX}/bin/cmake.exe \

この追加部分の先頭 cp /d/kicad-winbuilder/new…… の /d がドライブレターを表しているので環境で変更する。
例えば Cドライブなら cp /c/kica…… のように。

  • newstroke_font.cpp

上記参考サイトの 日本語フォントのマージ手順 に従って作成。
作成完了したら kicad-winbuilder ディレクトに配置

  • copydlls.sh

kicad-winbuilder ディレクトリの copydlls.sh を編集。
190行目付近に1行追加。
このファイル無いと起動しません。

"libtasn*.dll" \
"libp11-kit*.dll" \
"libpsl-5.dll" \ ← 追加
"libgmp*.dll" \
"libffi*.dll" \

260行目付近に1行追加。
(修正しなくても問題ないが存在するファイルなのでちゃんとコピーしてみる。前回あった license_for_documentation.txt は行方不明。)

echo Building NSIS installer exe...
cp -r $NSISPATH $TARGETDIR
cp $HOME/MINGW-packages/mingw-w64-kicad-git/src/kicad/AUTHORS.txt "$TARGETDIR" ← 追加
}
  • KiCad-Winbuilder.cmake

kicad-winbuilder ディレクトリの KiCad-Winbuilder.cmake を編集

100行目付近に2行追加
(boostパッケージのダウングレードファイル定義)

if( i686 )
set( TOOLCHAIN_PACKAGES "${TOOLCHAIN_PACKAGES} mingw-w64-i686-toolchain mingw-w64-i686-boost mingw-w64-i686-cairo mingw-w64-i686-curl mingw-w64-i686-glew mingw-w64-i686-openssl mingw-w64-i686-wxPython mingw-w64-i686-wxWidgets mingw-w64-i686-cmake mingw-w64-i686-gcc mingw-w64-i686-python2 mingw-w64-i686-python2-pip mingw-w64-i686-pkg-config mingw-w64-i686-swig mingw-w64-i686-libxslt bzr git doxygen" )
set( DWONGRADE_PACKAGES "${DWONGRADE_PACKAGES} http://repo.msys2.org/mingw/i686/mingw-w64-i686-boost-1.57.0-4-any.pkg.tar.xz ") ← 追加
endif()

if( x86_64 )
set( TOOLCHAIN_PACKAGES "${TOOLCHAIN_PACKAGES} mingw-w64-x86_64-toolchain mingw-w64-x86_64-boost mingw-w64-x86_64-cairo mingw-w64-x86_64-curl mingw-w64-x86_64-glew mingw-w64-x86_64-openssl mingw-w64-x86_64-wxPython mingw-w64-x86_64-wxWidgets mingw-w64-x86_64-cmake mingw-w64-x86_64-gcc mingw-w64-x86_64-python2 mingw-w64-x86_64-python2-pip mingw-w64-x86_64-pkg-config mingw-w64-x86_64-swig mingw-w64-x86_64-libxslt bzr git doxygen" )
set( DWONGRADE_PACKAGES "${DWONGRADE_PACKAGES} http://repo.msys2.org/mingw/x86_64/mingw-w64-x86_64-boost-1.57.0-4-any.pkg.tar.xz ") ← 追加
endif()

316行目付近に1行追加
(boostパッケージダウングレードの実行用)

if( NOT EXISTS "${LOG_DIR}/pacman_required_packages" )
# Get the initial required packages and then update pacman again
execute_msys2_bash( "pacman --noconfirm -S base-devel" "${LOG_DIR}/pacman_base_devel" )
execute_msys2_bash( "pacman --noconfirm -S git make ${TOOLCHAIN_PACKAGES}" "${LOG_DIR}/pacman_required_packages" )
execute_msys2_bash( "pacman --noconfirm -Su" "${LOG_DIR}/pacman_required_packages_update" )
execute_msys2_bash( "pacman --noconfirm -U ${DWONGRADE_PACKAGES}" "${LOG_DIR}/pacman_boost_packages_downgrade" ) ← 追加
endif()
  • install.nsi

kicad-winbuilder ディレクトリにある nsis ディレクトリの install.nsi ファイルの文字コードが UTF-8N なので UTF-8 か shift-JIS に変換して保存しなおす。

ビルド開始

Windows のコマンドプロンプト起動しカレント移します。

D:
cd kicad-winbilder

文字コード変更
(Win10の場合実行しないと MSYS2 の処理時に文字化けします。Win7は試してないけど4.0.7と一緒で実行しなくても大丈夫だと思います。)

chcp 65001

とりあえず実行

make_all.bat

あとは数時間待ってれば勝手にダウンロードして勝手にビルドして勝手にパッケージングしてくれる・・・はず。
ファイルは

kicad-winbuilder\msys64\home\ユーザー名\out\pack-i686
kicad-winbuilder\msys64\home\ユーザー名\out\pack-x86_64

に作成されます。

どうにも面倒でやってられない方

  • 簡単なビルド方法

上記手順が面倒な場合は kicad-winbuilder をダウンロードと解凍する。

kicad_500_files.zip をダウンロードして解凍し、

 

newstroke_font.cpp

ファイルを kicad-winbuilder ディレクトリにコピー

copydlls.sh
KiCad-Winbuilder.cmake
PKGBUILD

ファイルを kicad-winbuilder ディレクトリに上書き

install.nsi

ファイルを kicad-winbuilder\nsis ディレクトリに上書きしてビルドすればOKです。
ダウンロードしたファイルの修正箇所は上記の詳細手順と同じです。

インストールパッケージ

それも面倒な人はインストールパッケージをダウンロードしてください。
(署名はしていませんので、自己責任で有効にしてください。)
Windows10の場合 詳細方法 → 実行
32bit版 環境無くて未チェックです・・・すみません

32bit版 kicad-5.0.0-i686.exe

64bit版 kicad-5.0.0-x86_64.exe

投稿者: てんちょ!

電脳再生研究所 助手